生活保護費削減のニュースを受けて
今日、こんな記事を目にしました。
<生活保護費>「どんどん下げられると、やっていけない」
12/19(火) 21:40配信 毎日新聞
‟政府の方針では、受給額のうち食費や光熱費など生活費相当分について、3年で最大5%引き下げるとしている。”
生活保護の保護基準の引き下げに関するものでした。
このニュースを見てからTwitterでいくつか発信したところ、僕の他のtweetよりもインプレッションが多く、関心を持ってもらえたようなので改めてブログの形式にしてみようと思いました。
僕もこれまで生活保護について詳しく勉強したわけではないので、少し学んでみようと思います。
それでは以下のようなテーマごとに話を進めていきます。
- 生活保護とは何か
- 生活保護に対する予算はどの程度なのか
- 生活保護への予算は全体の何%か
- 生活保護費を削減すると何が起こるか
- 生活保護費をパチンコに使ってはいけないのか
- 自分がいつか生活に困るかもしれない
- 働くことができる・できないは目に見えてわかるものではない
●生活保護とは何か
生活保護法第一条では
‟この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。”
とあります。憲法二十五条は‟すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。”で有名な条文です。
よく知られているように、生活保護とは最後のセーフティネットです。
この網があるからこそ、我々は谷に落ちる心配をせず安心して暮らしていけるわけです。
生活扶助(生活費に相当)のほか医療扶助、住宅扶助、出産扶助などいくつかの項目が組み合わさって、また世帯人数や加算の有無などによって支給額が決定されます。
どうやら政府はこの保護水準(支給額・保護費とも)を引き下げることで3年で160億円の削減することに決定したようなのです。
人の命の保障ともいえる生活保護費です。
受給してる方は貯金の許されていない中で、さらに切り詰めて生活しなさい、この金額で十分だろというようなメッセージを受け取ったのではないかと思ってしまいます。
●生活保護に対する予算はどの程度なのか
厚生労働省によると、平成26年度の実績で3.8兆円です。
増加傾向にあるので28年度、29年度は4兆円を突破しているかもしれません。
●生活保護への予算は全体の何%か
じゃぁその3.8兆円というのはどの程度のものなのか。
平成26年度の歳出は全部で98.8兆円でしたので、全体の約3.8%を占めます。
また同じ年度に特別会計の歳出は純計額で195.2兆円です。
このような状況下で160億円(平成26年度の数値を用いれば0.05%)を削減するとは一体どういうことなのか、首を傾げたくなります。
●捕捉率について
捕捉率とは、生活保護を受給する生活水準の人(世帯)のうち何割が実際に受給しているかという率です。
日本は極端にこの数字が低く、15%程度といわれています。
今回の保護基準引き下げとは直接関係ありませんが、生活保護を知る上で語らなければならないポイントと思っています。
これまでどれだけの数の人間が水際作戦(生活保護申請をさせない対応)に責められ続けてきたか。
これまでどれだけ政府・自治体がセーフティネットに対するPRをしてこなかったか。
そしてそのせいでどれほど多くの人間がスティグマ(恥辱)に悩み続けているか。
日本には、まだまだ生活保護を受給するべき人が受給していないのです。
現実を直視しましょう。
●生活保護費を削減すると何が起こるか
実際に保護水準が引き下げられるとどういった影響が出てくるでしょうか。
僕が思ったのは、Twitterでも言ったことですが、本当に生活が苦しい人の中から栄養失調、脱水、感染症の病人が出てくると思います。
特に夏や、不漁・不作で食品の価格が上昇する年でしょうか?
生活保護は年配の方も受給していますので、場合によっては危険な状態に陥るかもしれません。
今回の保護水準の引き下げでそのようなレベルに達するかはわかりませんが、引き下げが続けばいずれは避けられないでしょう。
こうして体調不良者が続出した場合は、結局医療扶助が増加するのではないかと思ってしまいます。
●生活保護費をパチンコに使ってはいけないのか
Twitterでハッシュタグつけて生活保護で検索をしていたんですけど、どうしても中には浪費するのが許せない、パチンコに行くななどの主張を見つけてしまいます。
しかしながら支給された保護費は「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ために、何に使っても自由です。
パチンコも一種の娯楽ですから、パチンコが好きな人はパチンコに行ったっていいでしょう。
競馬、競艇、その他のギャンブルについても同様です。
もっとも条例で禁止されていることがあるらしいので、地域自治体によってしまいますが。
このパチンコ批判については、どうして他のギャンブルじゃなくてパチンコだけが叩かれるのか、他に理由があるのではないかと思ってしまいますが、それは今日は話題にはしないでおきます。
●自分がいつか生活に困るかもしれない
あんまり想像したくありませんが、自分だって年をとって、両親の介護や自らの病などで働けなくなるかもしれません。
今の生活が未来永劫続く保証はどこにもないのですから。
生活保護バッシングをしている方々を見ていて感心するのは、よくこの人たちは自分は絶対にセーフティネットの世話にはならないと自信持てるなということです。
僕にはまったくそんな自信がありません。
自分だって自力で生きているようで、他人の支えなしには暮らしていけないんですから。
僕は「困った時はお互い様」だと思っています。
僕は「困った時はお互い様」だと思っています。
自分の能力を超えて助け合う・支え合うことはできませんけどね。
●働くことができる・できないは目に見えてわかるものではない
ここまで生活保護の制度の概要から、生活保護受給者に向けられるバッシングへの反論といった形で進んできましたが、ようやく最後ですね。
働けるのに働いていない批判も多く見かけます。
しかもこれについては知人が実際にしていて「そう思わない?」などと同意を求められたので困惑した経験すらあります。
一体なにをもって働けると判断しているのかわかりませんが、たいていの人が働いていない理由は働けないからだと思います。
それがタイミングの問題なのか、技能の問題なのか、病気の問題なのか、それともその他の問題なのかは人それぞれですが、一見健康そうに見えても就労できない人がいることは特に驚くことじゃないと思います。
それに、健康であってもなくても、人生には休息も必要です。
仮に就労可能であっても、就労せず休息したっていいと僕は思っています。
自分が休みなく働いているからといって、他人にもそれを強いることは誰にもできないはずです。
ポストブラック社会におけるセーフティネットは強制などない、誰もが頼れる強固な網であってほしいと望んでいます。
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